ウズベキスタン剣道日記【後編】ウズベキスタン剣道の行方とウズベキスタンロス。

とんでも遅延での後編でございます。これをUPしたときには、既に今年のフィリピンナショナル剣道大会(7thPNKT)が終了しており、そっちを先に記事にしたい欲にかられましたが、さすがに更新しないままというのも、それはそれでスッキリできないなと思いながら、後編スタートです。

剣道セミナーと学生時代の環境・道場への感謝

さてさてセミナーですが、個人戦の後には3人制での団体戦もありまして、こちらは無事(?)優勝することができたんですね。一緒に戦ったメンバー二人も喜んでおり、大満足。えらくあっさりした記載になっていますのは、この「剣道クレイジー」の名前の由来であるチームKendoCrazyは、既に記事にしてしまったからなんですよね。詳しくはこちら

それよりもというのも何ですが、今回のセミナーで印象に残っている稽古法は、なんといっても素振り。一拍子素振り50本とツキの素振りです。前者は前進面を打った後、後退して構えに戻るの繰り返し。後者は腰から体重移動してツキを打って構えてから後退するの繰り返し。とまあ、内容は至ってシンプル。いや、やったことないと言ったら、そんなことはないのですが、こう大人になってからだと、改めて一本一本を意識しながら、数(量)ではなく質を重視した素振りと稽古がいかに重要かというのが身に染みるのです。なかなか学生時代までのいつでも稽古できる、というより強制的に稽古させられる環境にいたときと比べますと、社会人以降はまずそのような環境は警察特錬生や教員でもないとおよそ不可能でありまして、そうなると必然的にいかに限られた環境下でインプットとアウトプットを効率的にやるかという勝負になってしまうわけです。私自身がそれを学生時代にできれば・・・とも思うのですが、あのときの環境の有り難さは、終わってから初めて認識するものですな。というよりその境地に精神的に成長できていなかったというのもありますね。

実は今回のセミナーでは、急遽大島先生と剣道形演武をする機会を頂戴しまして、仕太刀をさせていただくことになりました。私の所属する道場では、剣道形を非常に重視する道場で、小学生から剣道形の稽古を週2回少なくとも1時間はしておりましたので、練度理解度は別として、動きについては寝ながら(意識を飛ばしながらも)剣道形が打てるくらいには染み込まされていたんですね。当時は、何の意味があるかようわからん、試合にどう活かすのかもわからん、「先々の先」や「気当たり」という言葉もようわからん状態でしたが、約20年越にして、その有り難みを知るという。ありがとう!東輝剣道クラブ。おかげで、僕、ウズベキスタンで剣道形ができたぜ。

2nd道場~天才大島先生と拡大する中央アジアでの剣道人口、そしてウズベキスタン剣道連盟の世界剣道連盟への加入~

さてさてそれでは、2nd道場です。そう懇親会・打ち上げです。「なんやこのピッチャー?サーバー???いやもうなんやこれ?」というビールサーバーが出てくる店で、大盛り上がりと相成りました。

懇親会では、大島先生の学生時代・実業団時代や8段取得までのお話が聞けまして。詳細は端折りますが、面打ち100本打てば8段合格するとのこと。・・・この先生は天才や・・・8段は皆天才やけども僕には無理やそれは・・・となりました。質を極めるとこうなるのかと。日本ではなく、ウズベキスタンで自身の剣道感を見つめ直すいい機会となりました。

また、来年もウズベキスタン剣道セミナー実施時にも来てほしいこと、今度はウズベキスタン以外のキルギス・カザフスタンでも稽古を!とありがたい言葉と頂戴しまして、ますます剣道クレイジー活動がはかどるではないかとテンションが上がったのでございます。

そして本題。実はウズベキスタン、まだ国際剣道連盟に加入できていないようで、このままですと、アジアオセアニア大会にも、何より次回日本で開催される世界大会にも参加できない状況のようでした。

私自身気になって、連盟規則等を読んでいますと(急に弁護士感が出ますな。)、クリアが難しそうな要件は、ウズベキスタン剣道連盟加入者数50名がいる、というところですかね(国際剣道連盟規約及び同細則等より)。

・・・50名の剣士・剣道家なんて、日本だと何なら道場レベルでクリアできそうですが、ウズベキスタンでとなりますと、そうもいかん。子どもから剣道したい!なんていうこともなさそうですし、基本的には大人からスタートだろうし。

そもそも大人スタートでも、指導者欲しいよねということですよね。剣道経験のある、どこかの企業からの駐在がうまくいればいいけども、それでも駐在が集中的に指導できるかといいますと、当然有期前提でしょうから、なかなか難しいでしょうね。

何より、日本のように、まず定期的に実施される試合もなく、自国開催での昇段審査会もないのであれば、そもそものモチベーション維持も難しいよなぁ。

個人的には、せめてなんとか世界大会には間に合って欲しいなと思う次第。

最後はえらく真面目な話となりましたが、ウズベキスタンでの剣道の盛り上がりには驚きましたし、今後もぜひこの勢いで拡大していただきたいと思いました。来年も楽しみです!

後日談

さて、この記事を書いた今、既に約3ヶ月は経過しているわけですが、ああシャシリクとプロフとトマトが食べたい。タルフン飲みたい。おいしかってんなあ。とまあ、見事にウズベキスタンロスが発動しております。

いや本当、何回でも言いますが、あんなに食事がおいしい国ないですよ。その上に安いとか反則です。円安物価高の最後の楽園。

最近の昇段と試合に対するモチベーションは、頑張れば、いつか自分自身がセミナー講師として呼ばれるんではなかろうか?という厚かましさ全開。切なすぎる願望。そして淡すぎる期待。いや、メジャーな国じゃなくていいんですよ。むしろそうじゃない国の方がいいんですよ。エジプトとかジョージアとかどうかしら。有名どころとか通訳を準備できる国は、そりゃあもうそこは、偉い先生方に行っていただきまして・・・。

私は英語圏なら通訳なしで身軽に行きますから!どうか!!どうか!!!

~fin~